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民際協力

【民際協力】【報告】コーヒーの森づくり 経験交流研修「コーヒーは人をつなぐ ―インドネシア・フィリピンコーヒー生産者経験交流」―

2017年9月28日から10月5日にかけて、コーヒーの森づくり事業(正式名称:フィリピン・ベンゲット州トゥブライ郡コーヒー栽培農家のコーヒー品質向上のための組織強化プロジェクト)の経験交流研修をインドネシア・北スマトラ地方リントンにて行いました。「組織強化」と「コーヒー生産」の双方で大きな学びを得ることができた今回の経験交流研修をご報告します。

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研修参加者たち(手前6名)。リーダー3名とメンバー3名が参加しました。

>>プロジェクトの詳細は、こちら


◆コーヒーは人をつなぐ ―ネットワークがマーケティングの鍵!―
今回の研修で大きな学びとなったのは「コーヒー生産におけるネットワークの重要性」でした。研修先であるインドネシア・リントンのコーヒー生産者協同組合KSUコープ(正式名称:KSU POM HUMBANG COOP&MASPEKAL)は一度、組織として崩壊を経験しています。その理由は、適切な人員の配置などの組織強化がされないうちに、フェアトレード認証の取得、日本へのフェアトレードといった大きな活動を行ってしまったためでした。その反省により、「一つの組織でできる活動には限りがある」と学んだKSUコープは、地域の様々なセクターと協力して、地域全体でコーヒー販売を行うという、地域のネットワークを活用しています。

その事例の一つが「コーヒーツアー」の実施です。近隣に東南アジアで最大の湖「トバ湖」という観光地があることを活かして、地域の観光局と連携したマーケティングを行っています。内外からの観光客を協同組合がネットワークする地域のカフェや農園に案内し、観光を楽しんでもらいながらコーヒーのアピールを行い、地域全体が豊かになることを目指しています。KSUコープはすでに日本やヨーロッパの大学の海外研修も受け入れており、帰国した学生たちを通じて「スマトラ・リントンコーヒー」が広報されています。

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地元のおいしいコーヒーを片手に観光を楽しむコーヒーツアーの事例を学びました。

その他、KSUコープはインターネットを使ったマーケティングにも力を入れており、Amazonでのコーヒー販売や、SNSを活用した広報など、たくさんのアイデアを共有して頂きました。


◆種からカフェまで ―農民がすべての工程に関わることで収入創出へ―

 KSUコープからの組織面でのもう一つの学びは、「コーヒーのすべての工程に関わることが、収入創出の鍵」という事です。例えば、生産者がコーヒーを生産し、収穫した豆を何も加工せず果肉の状態で仲買人に売ってしまうと、生産者はそこまで多くの利益を得ることはできません。しかし、生産者が自分たちでコーヒー豆を加工し、自分のお店で販売し、最終的には自身でカフェを開くことができれば、生産者がすべての利益を得られる(=100%)ことにとなり、コーヒーの品質によってはそれ以上の利益を生むことができます。KSUコープはコーヒーの加工施設を持っており、販売とコーヒー提供を行うカフェもあり、種からカフェまですべての工程に生産者が関わり、収入を得られる仕組みができています。こうした「組織強化」に関する学びは、参加者が自分たちの組織でコーヒー生産のビジョンを描く上で大きなものとなりました。

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KSUコープのカフェ「Nagasa on Café」

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KSUコープのコーヒー加工場

◆品質を向上させるために

組織化の学びと合わせて、コーヒーの品質向上に向けた工夫も学ぶことができました。栽培時の工夫では、コーヒーの木から余分な枝を取り除き、成長の良い幹だけを残す剪定の仕方や、古くなった木を切って再度新しい芽を生やす「若返り(リジュビネーション)」の仕方を、実際の作業を体験することで学びました。

また収穫後の加工の段階では、各工程の作業を実際に体験することで学びました。特に焙煎の工程では、機材と手作業、双方のやり方を学んだことで、機材のない事業地の環境でも品質を向上させることができると参加者は実感することができました。

こうしたすべての学びは、国境を越えた農民同士がお互いの経験を共有しあう「経験交流」によって行われました。参加者であるフィリピンの生産者たちからも、有機栽培でコーヒーを生産する上での病害虫への対策の経験や、切り花と一緒にコーヒーを生産する工夫など、たくさんの経験が共有されました。

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適切なコーヒー栽培の工夫を学ぶ参加者たち。

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手網焙煎という手作業での焙煎の仕方を体験しました。

◆インドネシアの学びを活かす!
ネットワークを活かし、地域全体で生計向上を図るという、KSUコープでの学びは参加者たちにとって、大きな意識改革となったようで、帰国後すぐに参加者たち自身で「3つの生産者組織が連携したコーヒー生産計画」が提案されました。これまで各組織がそれぞれコーヒーを生産し、収穫、加工、販売を行う構想を抱いていましたが、各組織が役割分担をし、3組織で協力してコーヒーを生産・販売する新しい構想が掲げられたのです。

「競争ではなく協力してコーヒーをつくる」という構想を踏まえ、帰国後10月2日から4日は、各住民組織でインドネシア研修の報告とそれを受けての活動計画作りが行われました。ワークショップ形式で、やってみたい活動を付箋で挙げてもらい、それらの活動を「今必要な活動かどうか」「実現可能かどうか」を基準に優先順位を付け、活動計画を立案しました。このワークショップでは研修参加者が積極的にリーダーシップを取り、最後には彼らが自らファシリテーターを務めていました。インドネシアでの事例で、コーヒー生産での組織化と組織間の協力の重要性を学んだ参加者たち。インドネシアがつないだ3組織共同でのコーヒー生産の目標が実現するよう、プロジェクトを通じたサポートを続けていきます。

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参加者それぞれが自身の学びを自分の言葉で発表。

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研修参加者のリーダーシップで活動計画が立案されました。

2017年11月30日 |