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【報告】報告&対談「武力によらない平和構築に向けて
               ー南スーダンの事例から安保法制を見直す」

2017年12月10(日)、JICA横浜にて、報告会「武力によらない平和構築に向けて 南スーダンの
事例から安保法制を見直す」を開催しました。

まず最初に、日本ので唯一、南スーダンの現場に入り紛争地で緊急支援活動を行っている
今井高樹さん(日本国際ボランティアセンター)から、南スーダンで起きていることを
報告していただきました。
               *   *   *

●報告:南スーダンの厳しい状況と自衛隊PKO部隊の安保法制の適用
2011年に独立した"世界で一番新しい国"南スーダンは、2013年に政権の権力闘争から内戦が
勃発し、2015年に和平合意が結ばれたものの、各地で戦闘が継続されている状況です。

権力闘争から始まった紛争は、地域住民を巻き込んで各地に広がり、軍や武装グループに
よる住民への略奪・殺戮・レイプ・誘拐などが起こっています。
ある住民の方は「ニワトリのように、子どもたちが次々に殺されている」と聞き、かなり酷い
状況が続いていることが報告されました。

今井さん報告.JPG
今井高樹(JVC)さんによる南スーダンの状況報告

そのようなことが起きていた2015年には、日本では南スーダンにPKO部隊として派遣されていた
自衛隊を想定した、安保法制の議論が進められていました。

PKO部隊は現地の司令部の下で、市民保護の活動をすることが任務ですが、安保法制によって
自衛隊に法人への"駆けつけ警護"の任務が付与されたことで、現地でのPKOとしての任務と、
日本の駆けつけ警護の任務の矛盾や、住民に紛れている武装勢力を見分けることの非現実性など
が指摘されました。

PKO活動の中には、行政機構や法律の整備などを行う文民派遣や、教育・復興など国造りの支援
など非軍事の任務もあります。
今井さんは、これまで日本が"軍事・政治介入などを行わない中立的な国である"と国際社会から
評価されている点を活かして、和解に向けた紛争当事者への働きかけをしていくことこそが日本
が果たせる役割ではないかと提言されました。

●対談:現場で求められていることと、国内事情に利用されることとのギャップ
後半は、今井さんからの報告を受けて、環境/戦争ジャーナリストの志葉玲さんとともに、対談を
行いました。

対談.JPG
今井さん(JVC)と志葉さん(環境/戦争ジャーナリスト)の対談

下記の内容を中心に、お二人によるお話がありました。

・南スーダンで日本の自衛隊派遣は、本来どうあるべきであったか?  
・紛争地で生きる市民の人たちは、日本の自衛隊派遣や安保法制の動きに対してどう考えているのか?
・安保法制が施行されて2年、私たちの社会や暮らしの中に具体的にどのような変化や動きが進んでいる  
のか?
・日本は、紛争地での平和構築にどうかかわるべきか、また日本の他国との安全保障はどうあるべきか?

志葉さんはイラク戦争など紛争地で何が起きているのかをつぶさに取材され、発信されている中で、
南スーダンだけではなく、イラク戦争当時の日本の対応や、現在緊張関係にあると報道されている
北朝鮮、アメリカなどとの関係についても触れ、命の価値に差があること、実際に現地で起こっている
ことを見ずに安全保障や国際貢献を考えていることなどを指摘されました。

最後に、武力によらない平和をつくっていくためには何をしたらよいのか?お二人からは、

自分でさまざまな情報を得ること、その国の市民に実際に会って話し交流すること、有権者として
地域の国会議員に意見や要望を伝えることなどが提案されました。


●南スーダンへ教育支援を行うWE21ジャパン寒川からメッセージ

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WE21ジャパン寒川代表の龍田百合子さん

WE21ジャパン寒川の龍田代表より南スーダンへ4年行ってきた支援について報告されました。
現場に行くのは難しいが、今井さんのように現地での状況や支援について直接お話を聞けるのは貴重
なこと。寒川は難民支援から始まり、ここ3年は難民キャンプでの教育へ支援金を送ってきました。
南スーダンの人々に平和な暮らしの日々が一日でも早くくるよう、支援を継続していきたいと話されました。

会場の様子.JPG

その後の質疑応答タイムでは、会場から質問カードが集められそれぞれ質問に回答いただきました。
質問は、南スーダンのほか憲法改正、北朝鮮のミサイル・拉致問題、沖縄米軍基地など、多岐にわたり
日本として、日本に暮らす市民として、安全保障がどうあるべきか、武力によらない平和構築をどうつ
くっていったらよいのかをじっくり考える時間となりました。


2017年12月13日 |