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WE21ジャパンでは、顔と顔の見える関係を大切にする民際協力事業を行っています。
2016年度からは「コーヒーの森づくり事業」をスタートし、現地NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)と連携して、コーヒーの品質向上を目指す活動を進めています、

今回は、活動地でマーケティング研修・合同報告会・モニタリングを実施しました。当事業の2年目の終わりを迎える中見えてきた、コーヒー生産者たちの今の成果と課題、そして新たな挑戦の様子をお伝えします。


◆2017年度コーヒーの品質評価の判定は?!

「コーヒーの森づくり事業」では、森に植えたコーヒーからの家計収入を確実なものするために「生産者たち自身によるコーヒーの品質向上」を目指して、生産者組織強化研修と技術研修を実施しています。
今回、コーヒー専門家の山本博文さんと現地パートナー「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」のリリー・ハミアスさんに、2017年度に収穫したコーヒーの品質評価をして頂きました。品質評価は"カッピング"という手法で、コーヒーの甘味、酸味、苦味、後味、コク、品質の均一性や味のバランスなどをワインのテイスティングのように判定します。今回の"カッピング"の場には、支援する3つの生産者組織の代表にも同席して頂きました。
結果は、割れていたり、色が異なる不良豆の除去が、昨年度より改善が見られたとの評価をいただきました。また、より高品質なスペシャリティコーヒーの可能性がある豆もあるという嬉しい評価をいただきました。

課題としては、収穫後に果実を取り除き、発酵・乾燥をさせる段階での「乾燥」が不十分なのと、乾燥場所が適切でないことから、風味に問題があることが指摘されました。解決策は、生産者たちが個別ではなく、生産者組織単位で加工を行うこと。乾燥等の加工作業を生産者組織で行うことによって品質の均一化が期待できます。これは私たちが当事業で目指してきた「生産者組織強化」のゴールにもつながる課題でした。

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"カッピング"によってコーヒーの品質を評価。

◆マーケティング研修は成功事例などを視察

マーケティング研修では、将来の収穫したコーヒーの販売に向けて、地域内の高品質なコーヒーを取り扱うコーヒーショップ「カフェ・サポーレ」と、生産者組織でコーヒー生産・加工・販売を行っているトゥバ郡の「トゥベンコーガ」を訪問しました。「カフェ・サポーレ」では、フィリピンの地域のコーヒーの他に、ブラジルやエチオピア産等、高品質なコーヒーを扱っており、専門店が求める品質をオーナーから直接確認することができました。また当研修にはベンゲット州のコーヒーを扱っている、マニラのコーヒーショップのオーナーの参加もあり「生産者とバイヤー、消費者の間に顔の見える関係を築く」というマーケティング方法を共有できました。
生産者組織「トゥベンコーガ」では、組織内に作るグループ別にコーヒーの品質評価を実施するアイデアを学びました。具体的にはコーヒー生産への積極性、経験に応じた3段階のレベル分けと、地区単位でのグループ分けをしており、組織図を掲示して組織体制の可視化をしていました。各生産者組織は今後の活動の参考にしていました。

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「カフェ・サポーレ」ではトレンドのコーヒーが提供される様子も視察。

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トゥベンコーガの組織図。グループ分け等、組織化の工夫を学ぶことができました。

◆合同報告会で互いの活動を共有

パートナーである3つの生産者組織が一堂に会し、お互いの活動を報告しあい、連携の強化を目指す合同報告会を今年度も開催しました。午前中には専門家山本博文さんから、2017年度コーヒーの品質評価の結果の発表と、具体的なアドバイスが行われました。東ティモール等の他の地域での事例共有も行われ、「組織でのコーヒー生産・品質管理の重要性」が改めて強調されました。
午後には各生産者組織の活動報告とそれを元にした意見交換が行いました。新しいメンバーへのオリエンテーションやコーヒーの植樹数、生育状況を調べるプロフィール作りの手法について、組織間で情報共有が行われました。

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合同報告会では各組織から活動報告を行いました。

◆モニタリングで見えてきた成果と課題

各生産者組織を訪問して、昨年度の研修がどう実践されているかを確認するためのモニタリングを実施しました。病害虫対策に関しては、サトウキビの酢を使った対策や病害虫に強い品種の苗木の育成が各組織で実践されていました。しかしせっかく生育している苗木に別の害虫が発生していることが判明したので、専門家から身近な材料を用いて行える対策が指導されました。各組織に病害虫を対策する委員会が設置される予定で、組織単位での取り組みが進んでいます。
古い木を切って新しい芽を生やす「若返り」に関しては、「木を切る」という手法から「もったいない」と抵抗を感じる生産者もいましたが、カバヤン郡研修やインドネシア研修で若返りの効果を学んだ参加者がその学びを伝え、時には作業の補助も行う事で、少しずつ実践されている様子を見ることができました。

成果と合わせて、収穫が少しずつ始まり、組織としての活動も2年が経過したことで課題も見えてきました。ある組織では年長者たちの力が強く、情報の共有や組織の決定が民主的に行われていないという課題が起きていましたが、役員の世代交代を行う事で、若い世代の参加による変化を目指すことになりました。
2017年9月インドネシア研修での学びによって、各生産者組織は3組織が協力する生産体制を目指しており、それを元にした、「品質の良い苗木育成」「集荷・加工」「マーケティング」という各組織が取り組むテーマも明確になってきました。いずれのテーマにも「組織での取り組み」が重要となってきます。グループ分け、組織図づくりにより、組織でのコーヒー生産・品質管理の計画が始まりました。

次年度はいよいよ事業の最終年度となります。当プロジェクトの目標である「生産者自身によるコーヒーの品質向上」へと着実に歩みを進めている生産者たちを支援していきたいと思います。

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若返りによって古い木に新しい芽が生え始めました。

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各組織が乾燥施設を拠点にどのように組織での加工・品質管理を行うかが課題です。


>>コーヒーの森づくり―フィリピン・ベンゲット州トゥブライ郡コーヒー栽培農家のコーヒー品質向上のための組織強化プロジェクト(JICA草の根技術協力事業)

2018年02月27日 |